基本情報
通貨名 | Horizen(旧ZenCash) |
ティッカー・シンボル | ZEN |
ICO | なし |
起源 | Zclassicのフォーク(ZclassicはZcashのフォークであり、Zcashはビットコインをベースとしています) |
最大供給量 | 21,000,000(ビットコインと同じ) |
コンセンサス・アルゴリズム | Proof of Work (PoW) |
ブロックタイム | 約2分30秒(ビットコインの四分の一) |
リリース日 | 2017年5月23日 |
チームリーダー(創設メンバー) | Robert Viglione(ロバート・ヴィグリオーニ) Rolf Versluis(ロルフ・ヴェルスルイス) |
オフィシャルサイト | https://horizen.global/ |
ホワイトペーパー | ZEN White Paper New Zen White Paper Solution to Prevent 51% Attacks |
ソースコード | https://github.com/ZencashOfficial |
Block Explorer | https://explorer.zen-solutions.io/ |
https://twitter.com/horizenglobal | |
テレグラム | https://t.me/zencash |
ディスコード | https://discord.gg/Hu5mQxR |
YouTube | https://www.youtube.com/channel/UCQ0v_lUnZHIKUQUXJzfgqOg |
Horizenの名前について
zencash(ゼンキャッシュ)はHorizen(ホライゼン)に生まれ変わりました。
日本時間の2018年8月23日にzencashはHorizenにリブランディングしました。
ティッカーシンボルは変わらず、ZENのままです。
Horizen(ホライゼン、旧zencash・ゼンキャッシュ)の特徴
Horizenは世界でもっとも分散化された 送金・データ保存・メッセージ 用のプラットフォームです。
2018年8月15日時点でHorizenのネットワークは世界中で稼働中の15,000以上のノードによって支えられています。
この数は仮想通貨の中では一番であり、ビットコインやイーサリアムよりも上です。
Horizenにはzk-SNARKSというZcashにも採用されているゼロ知識証明というプライバシー技術が採用されています。
zk-SNARKSという最先端のプライバシー技術と広く分散されたネットワークにより、Horizenの利用者のプライバシーは固く保護されているといえます。
Horizenは日々進化をしていますが、現時点でもSwing Walletというウォレットを使って:
- 完全に匿名性を維持した状態でZENを送金したり(Z Transaction)
- 完全にプライバシーを保護した状態でメッセージを送ったり(zenchat)
することができます。
今後はその強力なノードネットワークとプライバシー技術を活かした機能、例えば:
- メディア・データのストレージ(zenpub)や、
- ネット規制の存在する国(中国や北朝鮮)にいても自由にウェブに接続できる機能(zenhide)
などが開発・実装される予定です。
Horizenはブロックチェーンが抱えるガバナンスとスケーラビリティの問題解決に向けて積極的に研究開発を行っています。
ガバナンスへの取り組み
Horizenは分散化されたガバナンス・モデルを採用しており、特定の人物や組織に必要以上の権力が集中してしまうことを防止するような仕組みに強くこだわっています。
Horizenではブロックのマイニングを行うマイナーと、ノードの運用を行うノードオペレーターの二階層からなるブロックチェーンの監視構造を採用しています。
ノードオペレーターにもノードを維持する対価として報酬を支払うモデルの有効性はDASHにより証明済みと言えます。
Horizenの特徴としては2種類のノードが存在し、それぞれ異なる役割を担っている点です。
ノードの仕組みについては後段で詳細に解説します。
ブロックが誕生するたびに生成される新たなZENはマイナー(70%)、ノードオペレーター(セキュアノード10%+スーパーノード10%)、そしてTreasury(基金のようなもの)(10%)に分配されます。
TreasuryとしてプールされたZENは研究開発やZENを普及させるための様々な活動(広告、法務、財務など)に充てられます。
DASHと同様、コミュニティーに対してプロジェクトを提案し、可決された場合は活動費に充てるためにZENが付与されるといったプロポーザルの仕組みも存在します。
現状はZEN TeamがTreasuryの管理を行っていますが、ゆくゆくはその管理もオンチェインに移行させ、特定の組織の介入を必要としないDecentralizedな仕組み、通称DAO(Decentralized Autonomous Organization)をZEN Teamは目指しています。
そのためにHorizenはIOHKとコンサルティング契約を結び、新たなTreasuryシステムの開発を進めています。
HorizenのことはHorizenのコミュニティが決める。そのためには投票の仕組みが必要ですが既存の投票システムにはいくつかの問題点が指摘されています。
一つは、ほとんどの人は投票せず、一部の人たちしか投票しない点です。
一部の投票する人たちは得てしてステークの大きい人たちなので偏った意見しか取り入れられないといった問題点があります。
ほとんどの人が投票をしないのはインセンティブの欠如が原因と考えられ、Horizenは投票した人に対してZENを付与することで投票を促すモデルを現在検討しています。
また、既存の投票モデルでは投票状況の途中経過が見えてしまう問題点があります。
例えばA案とB案とあって、自分は確実にB案がいいと思っているのにA案のほうが圧倒的に票数を集めていたとします。
ほとんどの人はおそらくその時点で投票すること自体をやめてしまうでしょう。
Horizenはこの問題に対処するために現在考案中のVotingモデルでは投票の途中経過は開示しない方向で検討しています。
zk-SNARKSのプライバシー技術はここでも活かされます。
誰が何に投票したかの情報のプライバシーは完全に守られます。
スケーラビリティへの取り組み
ブロックチェーンは非常に強固なデータベースである反面、処理できるデータ量とその速度、すなわちスケーラビリティが課題となっています。
Horizenはそのコンセンサス・メカニズムとしてPoWを採用しています。
PoWはビットコインが採用してるコンセンサスメカニズムであり、単純かつ有効な方法であることは歴史が証明しています。
一方でビットコインやHorizenが短時間に処理できる取引数には限界があるのも事実であり、世界中で使われるようになるためにスケールする必要があります。
ブロックチェーンのスケーリング・ソリューションとしてPOS(Ethereum)、DPOS(EOS)、Bigger Blocks(Bitcoin Cash)などが提案されています。
Horizenは現在、SPECTREに基づいたDAG(directed acylic graph)という方法の研究を行っています。
どのような形で採用されるか現時点ではわかっていませんが、DAGとPoWの両方が共存する仕組みが検討されているとのことです。
Horizen(ホライゾン)のノード(zennode)の特徴
Secure Node(セキュアノード)とSuper Node(スーパーノード)の二層構造
Horizenのノード(zennode)の特徴はその二層構造にあります。
ノードにはブロックチェーンの記録を保存するという重要な役割があります。
Horizenのノードは記録を保存するという役割以外にも大事な目的を現在果たしています。
Horizenではzk-snarks技術を使って匿名性を維持した状態で送金したりメッセージを送ったりすることができますが、これには高い情報処理力が必要になります。
これをプライベート・トランザクションやZトランザクションと言ったりしますが、この情報処理をHorizenのノードは行っています。
Horizenのノードは定期的にダミーのプライベートトランザクションを発生させており、本当のプライベート・トランザクションを大量のダミーによってカモフラージュするという役割も担っています。
Secure Node(セキュアノード)とSuper Node(スーパーノード)の違いは?
セキュアノードとスーパーノードの一番の違いはそれぞれのノード報酬を得るためお要件です。
セキュアノードを運用して報酬を得るためには42 ZENが必要であり、それに対してスーパーノードは500 ZENが必要です。
また、ノードを運用するサーバーのスペック要件も異なっており、スーパーノードのほうが高いスペックが要求されます。
これはセキュアノードとスーパーノードで今後想定されている役割が異なってくるからです。
スーパーノード上では今後サイドチェーンの実装が予定されており、スマートコントラクトやデータストレージなど、様々なサービスの提供が期待されています。
これらの新サービスがスーパーノード・オペレーターの新たな収入源になることも予定されています。
セキュアノード、スーパーノードのそれぞれの要件は下記のとおりです:
Secure Node | Super Node | |
---|---|---|
必要なZEN | 42 ZEN | 500 ZEN |
CPU | Single Core || Dual Core | Four CPU Core |
RAM | 4GB | 8GB |
Disk | 20GB | 100 GB |
IP | IPv4 or IPv6 | IPv4 and IPv6 |
SSL | 必要 | 必要 |
必要アップタイム | 92% | 96% |
チャレンジタイムリミット | 300秒 | 150秒 |
高いノード報酬
Horizenのノードのもう一つの特徴はその報酬の仕組みにあります。
ブロックが誕生するたびに生成される新たなZENの10%はセキュアノードに、もう10%はスーパーノードに支払われます。
それぞれに付与された10%のZENのプールはそれぞれのノードの頭数によって均等に案分されます。
スーパーノードの要件のほうがセキュアノードの要件に比べて格段に高く設定されているので参入障壁も高くなり、一個当たりのスーパーノードが獲得するZENも必然的に多くなります。
ではスーパーノードのほうが儲かるかというと一概には言えず、ROI(利回り)自体はマーケット原理が働いて同水準に落ち着くと推測しています。
しかし、サーバー費用などを考えるとSuper Nodeになるインセンティブのほうが強く発生するため、長い目で見てもSecure Node(セキュアノード)のほうがROIは若干高く推移すると予測しています。
現時点では非常に高いROI(ZEN建て)もノード数の増加に応じて低下していきます。
一方でノードを作るためにはZENが必要になるのでZEN自体の価格に対してはプラス材料となります。
このように、Horizenのノード運用は大規模は市場原理の実験でもあるのです!
Horizen(ホライゼン)のいいところ、そして課題
いいところ
コンセプト
送金、データ、メッセージという実生活において必要不可欠な分野にフォーカスしている。
しかもこれらは非常にプライバシーとの結びつきが強いため個人のプライバシーの重要性が再認識されている中、リアルユースケースとして定着する可能性がある。
フィロソフィー(思想)
プライバシーは自由や平和の思想との結びつきが強く、Horizenのチームも自由と平和を強く尊重する価値観を持った人たちによって構成されている。
その証拠にHorizenのホワイトペーパーには “voluntary”という言葉が8回も登場する。
ボランタリズムを彷彿させる思想や言葉選びはHorizenの理念や思想を表しているものと理解できる。
コミュニティ、チーム
Horizenのコミュニティは非常にアクティブでテレグラムやDiscordでは24時間、テクニカルな問題の解決法やZENの進むべき方向性について議論が繰り広げられている。
仮想通貨のコミュニティとしては非常に“親切”であり、初歩的なウォレットの使い方から、ノードの設定方法などについても親切に教えてくれる人が多い。
Horizenはコミュニティを重視しており、仮想通貨のプロジェクトとしては初めて専用ヘルプデスクを設置している。
ZENチームは世界中のメンバーにより構成されおり、それぞれがその地域でHorizenの普及活動を行っている。
2週間に1回、YouTubeでプロジェクトの進捗状況についてコミュニティに対して情報公開をするなど、非常にプロフェッショナル意識の高い集団である印象。
Horizenに対して51%アタックがあったときもすぐに情報開示をしたり、解決策について自ら発信するなど透明性にこだわっているといえる。
ICOをしておらず、独自のTreasuryを持っているため持続可能性のあるプロジェクト
HorizenはICOをしていません。
Horizenの開発や普及活動は前述のTreasuryモデルによってまかなわれています。
これは持続可能性の観点からいうと非常にインセンティブのバランスが取れた仕組みと言えます。
ICOによって資金調達をしてしまうとプロジェクトの将来の公正価値に相当する部分を事前に受け取ってしまうことになります。
ICOによって調達した資金に対しては何ら法的債務をプロジェクトは負わないため、いったん資金を受け取ってしまえばプロジェクトを進めるインセンティブを失ってしまうという問題があります。
これに対してHorizenの開発チームはプロジェクトの進行に応じて一定の資金を得ることができるためインセンティブのネジレが生じにくいといえます。
将来性、アップサイド
Secure Node、Super Node、DAO、DAG、サイドチェーンなど、今後も技術的な進化が期待できる。
ノード数がブロックチェーンの強度の一つの目安として考えられるのであれば、今後はさらに注目が期待できる。
時価総額から考えると、今後の伸びしろに期待が持てる。
今後の課題
アドプション
まだ誕生して間もないプロジェクトにしてはアドプションも進んでいる方ではあるが、ビットコインに比べるとまだまだアドプションが足りない。
今後いかに広く使われるようになるかがHorizenだけではなく仮想通貨全体にとっての課題。
インフレ期
Horizenの上限枚数は21,000,000 ZENであるが、現在はインフレ期に当たる。
今後約10年をかけて発行済みZENの数量は今の4倍近くになるため、その間は価格に対して下げ圧力が働くことになる。